本日、「NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA BASE」を手がけるWhite Mountaineeringの相澤陽介氏の最新インタビュー記事を公開しました。その内容を一部お届けします。全文は以下のリンクよりご覧いただけます。
NOT A HOTEL KITAKARUIZAWA BASEのディレクションを手がけたのは、〝服を着るフィールドは全てアウトドア〟をコンセプトに掲げるWhite Mountaineeringのデザイナー相澤陽介氏。ファッションのようにS、M、Lというサイズで展開される各BASEには、アウトドアをこよなく愛する彼のこだわりが隅々にまで詰まっている。建築家とは違った発想で生まれたこの場所は、これまでのNOT A HOTELとはまた一味も二味も違ったユニークな体験を提供してくれるはずだ。
標高1100メートルを超えるこの場所は、軽井沢よりも一段と涼しい。春の芽吹き、夏の新緑、秋の紅葉、冬は一面の雪景色、どの季節に訪れても豊かな四季が迎えてくれ、リスやシカ、イノシシ、クマ、サルも暮らしているという。30年間手付かずで残されていたという森の木々の間には、江戸時代の噴火でできた巨大な溶岩が残り、浅間山の雪解け水の小川が流れる。
軽井沢駅から車を走らせ、目の前に山を眺めながら緑の木立に包まれた道を進むにつれ、都会の日常を抜け出し別世界へと向かう期待感が高まっていく。やがて道の両脇に浅間山の溶岩がゴロゴロと現れ、この土地ならではの独特な景観に。そんなアプローチを経て到着する森に、NOT A HOTEL KITAKARUIZAWAはある。
ファッションデザイナーの理想の二拠点生活
NOT A HOTEL代表の濵渦伸次は20歳の頃、宮崎のアパレルショップでアルバイトをしていた。そこで相澤氏のWhite Mountaineeringを扱っていたこともあり、当時から尊敬する存在だったという。その後、イーコマースの会社を立ち上げたことがきっかけで交流が始まり、約2年前に濵渦が相澤氏にダメ元で「洋服ではなくてNOT A HOTELを作ってくれませんか?」と依頼をしたのがこのプロジェクトの始まりだった。
相澤:はじめは制服やギアの依頼かと思っていたのですが、実際に住居を作って欲しいという話だったので結構無茶振りだなと思いましたよ。片山正通さんや谷尻誠さんが手がけた物件のことは知っていたので、そこに自分が…っていうのが、正直な印象で。建築家ではないので実際に図面を引いたりすることはできないのですが、この話の少し前に実際に軽井沢で山小屋を作り2拠点生活を始めていたんです。僕はMonclerだったり、オイルドジャケットで知られるBarbourのデザイナーをやっていたり、海外での仕事が非常に多かったんですが、コロナのタイミングで海外の仕事はほぼできなくなってしまったんですね。そこで長年憧れていた山での生活をしてみようと、軽井沢に家を見つけてリノベーションしたんです。濵渦さんが声をかけてくれたのは、そうして二拠点生活を始めたタイミングでした。
濵渦:ある日突然、相澤さんのインスタが軽井沢だらけになって、これは何か心境の変化もあったんじゃないか、もしかしたらお願いできる可能性があるんじゃないかと。
相澤:ファッションデザイナーという肩書きではありますが、トータルでライフスタイルに対してのデザインを長くやってきたということと、軽井沢に家を見つけてリノベーションしたという経験は活かせるかもしれないなと。濵渦さんの理想も非常に高く、僕もファッションデザイナーとして関わる以上、現実は一度取り払い理想を追求したいという思いがありました。
都心からのアクセスもいい軽井沢
相澤:いきなり山や海に生活の拠点を全部動かすっていうのは、結構難しいことですよね。自分の場合は子どもが3人いるのですが、家族の状況もあったり。そう考えたときに、軽井沢って非常に行きやすいんですよ。僕はスノーボードが趣味なので、北海道や白馬というのも考えましたが、まず新幹線で1時間で行けて、車だと2時間ちょっと。金曜の夜に行って土日をそこで過ごしたり、仕事に集中したいときは1週間だけ山ごもりをしたり。
濵渦:新幹線で1時間なら、何かあったら戻ってこられますしね。
相澤:僕の家は築40年ぐらいの、いわゆるバブル時代のバンガローみたいな雰囲気だったのを丸裸にして、一から作り直した感じです。Barbourの仕事で行ったエディンバラのお城をリノベーションしたホテルとか、BURTONの仕事で行ったモントリオールやバーリントンのスノーリゾート、コロラドのジェイク・バートンさんの別荘やバーモントの自宅の山小屋──海外での経験から、全く新しいものを作るというのとは違う、その環境や既にあるものを活かして作り直すという考え方を見てきて、ここでそれを自分でも実践してみようと。
濵渦:本当に素敵で、お邪魔したときにこれをこのまま販売したいと思ったくらいです。
相澤:ただ、冬は寒いですよ。マイナス10度。冬は外の地面が凍ってしまうんですよね。もう工事もできないぐらいで、昔は冬場の別荘は使えないっていう状況が結構あったと思うんですよ。僕はスノーボードが趣味なので、冬に使えないと意味がない。床暖房の入れ方とか、どうしたら通年快適に使えるか?自分の家でリスクをとって試したことが今回のプロジェクトにも活かせました。
濵渦:僕らのプロダクトのための実験台にもなっていただいた感じで、恐縮です。
相澤:結果的にそうなりましたね(笑)。例えば冬でも、靴下1枚くらいで、素足に近い感覚でフローリングにいられたら気持ちいいじゃないですか。そんなふうに日常の延長線上で過ごせて、ふと外を見たらすごくきれいな景色に雪。そこでサウナ入って、ちょっと外に出てみる。キャンプとか登山ってことでなくて、このBASEでは自然の中に身を置くだけでアウトドアが成立するんじゃないかと思っています。
浅間山の麓に広がる、奇跡の別荘地
濵渦:今回の敷地に実際に行かれて、どう思われました?
相澤:こんな場所あるんだ、とびっくりしました。僕の家は中軽井沢で、いわゆる軽井沢の雰囲気があって、利便性も非常に高いんですが、日常を忘れるほどなのかっていうと、また難しい。僕の場合は行く度にまず掃除から始めて、冬の落ち葉も全部履いてという完全な山小屋生活なので、利便性をある程度考えないと二拠点生活は難しい。でも今回のBASEがある北軽井沢は、もう大自然なんですよ。こんな場所を自分たちのエリアとして使っていいなんて、ほぼ出てこない物件ですよね。
濵渦:ここは軽井沢駅から車で30分かかるので遠いイメージがありましたが、中軽井沢を抜けてバイパス通るときに浅間山がどーんと見えて、到着するまでのストレスがほとんどなかった。そして敷地に着いてみたら、森の中にめちゃくちゃでかい岩がゴロゴロ転がってる。こんな敷地見たことないなっていうのが最初の印象でした。
相澤:僕も感動して、2023年春夏のWhite Mountaineeringのコレクションはここで撮影させていただいたんですよね。広大な敷地のおかげでドッグラン付きのモデルも設計できたので、ペットと一緒に森を散策することもできます。僕がよく行くスキーリゾートも、車で20分ぐらいのところにあるんです。日常の中に雪の遊びがあるというのは、ものすごいメリット。さらに周辺には湖やキャンプ場があるので春夏なら滞在にプラスしてキャンプもできたり、温泉も多いですしね。
全文は「NOT A HOTELをつくる人」にて公開中です。ぜひご覧ください。
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